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2026年2月24日/292号 2つの肉声の違い
ミラノコルティナオリンピックが23日に閉会しました。感動するシーンはいくつもありましたが、やはり「りくりゅう」によるフィギュアペアでの金メダル獲得の滑りではないでしょうか。早朝から泣かされましたね(笑)。2人の間には9歳もの年齢差があるのだけれど、試合後のインタビューや過去やり取りの映像を見ていると、お互いに言いたいことが言えたり、行動に表せる関係性を築き上げていたことが、大逆転につながったに違いないと感じました。心理的安全性のある(=不安や心配事でも自己開示できる)環境があったから限られた時間内でも気持ちを切替えられて、2人の最高のパフォーマンスにつながったのでしょう。
先週、政治ジャーナリスト田﨑史郎さんの講演を聴講する機会がありました。田﨑さんは、御年76歳、政治取材歴47年のベテラン中のベテラン。TBS「ひるおび」やテレ朝「モーニングショー」などのテレビ出演も多く、ご存じの方もいらっしゃると思います。講演のタイトル『高市政権の行方と、米・中との向き合い方』と題して、1時間たっぷりとお話されました。
冒頭「高市さんは女石破です」と言われたのが強烈なつかみになりました。周りの人たちもえっ、どういうこと?と引き込まれた様子。これ自民党の萩生田さんが高市さんを言い表した言葉なんだそう。木原官房長官や維新の会の遠藤国会対策委員長ら、高市さんに近い人と会食して、前首相の石破さんとの共通点が4つ分かったそうです。
① 勉強家
② 仲間作りしない
③ 頑固
④ ケチ(笑)
① 勉強家は、ご自身の言葉「働いて、働いて、働いて…」を実践するもの。②は、政治家
にとって人間関係作りが最重要事項のはずなのに、それをしないということ。田﨑さんは、取材歴のある田中角栄や安倍晋三さんと比較して批判的にもとれるようなトーンで話をされました。何事も1人で囲い込む(=判断する)とも言われました。安倍さんから「電話しても出ないことがあるんです」と聞いたそう。トップからの電話に出ないなんてちょっと信じられないですが…(安倍さんも)何回か注意したそうですが、変わることはなかったと。③は②からの派生とも言えるでしょう。④は、会食には参加しないとのこと。
では「なぜ高市さんがトップになれたのか」といえば、世の中が強い人間関係を結ぶことをいやがる社会に変化しており、自民党内においても派閥は(麻生派を除き)解消されていることが大きいと言われました。そのうえで「石破さんは人気なかったのに、どうして高市さんは人気が高いのか」といえば、初の女性首相であることはもちろんだが、特に若い層からは常識にとらわれない点がうけているのではないかと分析されました。先の衆院選はその最たるもので、東北の雪や受験シーズンであることを考えれば、ありえない話。しかも相談したのは、木原官房長官オンリーだったそう(新聞・ネット情報は嘘ではなかったんですね)。
これに加えて時折見せる、素の自分の見せ方が抜群に上手と評されました。高市さんがご自身や趣味に関することを関西弁でお話される場面を幾度かニュースで見たことあり「なるほど」と納得。これに関連してSNS(ユーチューブ)を巧みに活用して選挙中に1.6億回もの再生回数を得るなどした点もあげられました。
不安点としては3点、中国問題(木原さんによれば中国とのパイプはあるそう)、高市チルドレン66名、政権内にブレーキ役がいないことです。食料品消費税ゼロについては、国民会議に委ねるとしているが、財務省は既に導入阻止についてギブアップしており、その先を見据えているそう。つまり、給付付き税額控除における国民一人一人の所得把握の実現に向かっているとのこと。お~恐っ。憲法改正については、2028年7月の参院選挙時に衆院選も行い両院それぞれで一気に2/3以上の議席獲得を目指すのではと読んでおられました。
最後に「政治とは川の流れと同じで常に変化を続けているものであり、今日こうして話している間も刻々と変化をしているので、もし将来に今日の話と全然違っていたとしても、あの時点ではそうだったのだとご理解下さい」と笑いをとって上手に締められました。
田﨑さんの講演は、驚き・笑い・腹落ち感があってさすがと思わずにいられないものでした。これは、自ら行われた政治家との取材に基づき、自らの考えを自らの言葉で発信されたがゆえと思うのです。一方で、講演の前に会社説明会を開催されたトップの言葉は、原稿を読み上げるものでした。業績好調と聞いており、その生の声が聞けると期待していただけに肩透かしされたと感じたのは私だけではないはずです。それでは、また次回!