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2024年5月

  • 264号/取材での回答は適切ですか?(29日)
  • 263号/書評と旅行(13日)

2024528日/264号  取材での回答は適切ですか?

GPIFが今月「エンゲージメントの効果検証プロジェクト報告書」を公表しています。運用会社のエンゲージメントが対話先企業のどのような行動変容をもたらしたのかを統計的因果推論の手法で検証したものです。気候変動や取締役構成・評価をテーマにした対話において、財務(例/PBR)・非財務指標(例/脱炭素目標)両面でKPIが改善しているとの結果が得られたとのことです。

 

詳細はこちらから

20240521_engagement_report.pdf (gpif.go.jp)

 

 

先週水曜日(22日)の日経新聞に「植田総裁、発言は適切ですか?」の中外時評コラムがありました。取材対応をされているIR担当の皆さんへも示唆を与えてくれる内容だと思いますので一部引用させていただきます。

 

『市場との対話は難しい。わかってはいるが、もっとうまくやれたのではないかと後味の悪さが残る。植田和男日銀総裁の為替と金融政策をめぐる発言である。

 

植田氏は426日の記者会見で、最近の円安について次のように語った。「基調的な物価上昇率に、今のところ大きな影響を与えているということではない」

 

ここまでだったら、さほど大きな問題にはならなかったにちがいない。

 

前段で円安に関し「(物価に)無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の判断材料になる」とも述べていた。必要ならいつでも利上げに動く。そんな姿勢をにじませ、必ずしも円安容認と受け取られる内容ではなかった。

 

ところが、次のひと言が命取りになる。記者から「(円安の)基調的な物価上昇率への影響は無視できる範囲だったという認識でよいか」と問われると、植田氏は少しためらいながらも「はい」と答えてしまった。

 

「円安は無視できる」と認めたに等しい。投機筋の餌食になり、円が一時1ドル=160円台まで売りたたかれるきっかけになった。うかつだったと言わざるを得ない。

 

ここは「はい」のひと言で片付けず、もっと丁寧に説明すべきだったのだろう。』

(引用終わり)

 

取材対応で同様の経験をされたことはありませんか。私には、前職での苦い記憶があります。もちろん、一国の経済に影響を与えるほどではありませんが(笑)。セルサイドアナリストに意に反したネガティブな内容のレポートを書かれてしまい、株価へ悪影響を与えてしまったことがあります。

 

それはIR担当を開始して数か月がたち、仕事に慣れ始めた頃の話です。日東電工は、毎月1回、場の引けた後にウェブサイトへ液晶用光学フィルム売上を指数化して公表していました。当時、液晶業界の需要動向を把握できるデータは世の中にほとんど存在しない中、同社の月次開示は、信頼性の高い数少ないデータとしてとても重宝されていました。公表して数分もするとセルサイド・バイサイドから前年比と前月比で開示した指数値の背景や今後の見通しを確認するための電話がドッと入ってきます。電話の本数は、多い時には20本近くにもなったものです。

 

指数値の変化率が大きければ大きいほど、セルサイドはその背景を確認してアナリストレポートに書こうとするわけですが、売上の大幅減少を示す指数値が出たある月のことです。

外資系セルサイド(今でも名前忘れていません(笑))から「今回の売上大幅減少は、競合にシェアを奪われているのではないか」と問われたのに対して、私は「可能性は否定できないですね」とのみ答えました。翌日のアナリストレポートに「日東電工、液晶光学フィルムの売上大幅減はシェアダウンが背景に」というセンセーショナルな書き方をされてしまいました。見た瞬間、心臓をギュッと鷲づかみされた感覚とは、こういうものかと初めて知りました。

 

「可能性を否定できるものではない」とシンプルすぎる回答で終わらせてしまったのが失敗の元なのは言うまでもありません。そもそも売上減の背景には、これ以外にも需要動向の急変、顧客シェアの変化(減少)、(顧客の)在庫調整等々、いくつもの可能性があったにも関わらずです。セルサイドから名前と顔を覚えてもらい、IR業務にも慣れてきたころに漫然と対応してしまいました。油断以外の何ものでもありません。それからしばらくの間、月次開示後のアナリストレポートを見るのが怖くて怖くてしかたありませんでした。

 

日経コラムは最後に『どんなに説明を尽くしても、すきを見せれば足をすくわれる。植田氏にとって苦い経験となったが、決して無駄にはならないはずだ』と締めています。私自身は、

この経験の後、必ず「で、他には?」と自問自答することを癖にするようしました。連続的に「で、他には?」と問うことで抜け漏れを極力少なくしようということです。回答は長くなりがちですが、心臓をつかまれるあの感覚を味わうよりよほどマシです。皆さんも取材時には一度、お試しあれ。それでは、また次回!

 

2024513日/263号  書評と広島旅行

旬刊経理情報(5月10日・20日合併号)という経理財務・法務・経営企画関係の少々マニアックな情報誌において、コモンズ投信の伊井社長が拙著「投資家をつかむ IR取材対応のスキルとテクニック」の書評を書いてくださいました。書評の最後に「本書は、歴史ある上場会社からスタートアップ、そして未上場の企業においても自社の価値をいかにステークホルダーに伝えていくかのヒントが満載である」と書いてくださいました。著者としてそんな風に感じていただけたらなぁ~と思いながら書き綴りましたので、それと寸分もたがわない書評を記してくださり最高に嬉しい言葉になりました。伊井社長にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。未読の皆さまには、これを機にお手に取っていただければ幸いです。

 

書評はこちら。

さて、GW明けの先週、34日で広島へ旅行しました。広島は初めてではありません。前職において広島県尾道市にある事業所を訪問したり、N証券広島支店で個人投資家向け会社説明会を開催した際に訪れています。が、プライベートでは初めての訪問です。お約束の定番観光スポットから旅は始まりました。

 

<宮島>

言わずと知れた日本三景のひとつ。昨年5月のG7サミットの開催地でもあります。厳島神社の大鳥居が潮の満ち引きで風景が変わるのを初めて見ました。神秘的な様にそれだけで充分満足できるのですが、他にも見どころはたくさんあるんですね。その中のひとつが弥山(みせん)と呼ばれる古くからの霊峰です。ロープウェイを2つ乗り継いで山頂(標高535m)の手前まで到着。そこからプチ登山です。30分ほどかけて山頂へたどり着くころには息も上がって、大汗をかいています。山頂展望台からの大パノラマは忘れられない絶景です。島のいたるところに人懐っこい鹿(でも、野生)がいて、ほっこりできるのもグッドでした。宮島に宿をとってのんびり長期滞在というものありだなと思いました。

 

 

<原爆ドーム>

上述の個人投資家向け会社説明会は、20163月のこと。その際は、原爆ドームを外から眺めたのみですが、今回は平和記念資料館までしっかり見学しました。館内には、修学旅行と思しき小・中学生が多数来ており、所々で大渋滞が発生。それ以外の見学者は、ほぼ外国人ばかり。特に西洋系の方が目立ちました。展示されている被爆者の遺品や写真・絵、さらには映像などから原爆の凄惨さが直に伝わってきます。普段忘れてしまっている「平和」な世のありがたさへ感謝し、「No More Hiroshima」を強く念ずる機会になりました。

宮島と原爆ドームは広島旅行では定番中の定番ですが、少し足をのばせばこんなところもあります。

 

<広島市植物公園>

1976年に開園した広島市の一番西側、佐伯区に位置する植物園です。瀬戸内海を望む高台18ヘクタールもの広大な敷地内の大温室、サボテン温室、ベゴニア温室、日本庭園、芝生広場などで一万品種もの植物が栽培されています。上段左写真の中央から右側にかけて映っている半島のような影は、実は宮島です。視力1.5以上あれば、大鳥居が見えるそうですが私には残念ながら見えませんでした(笑)。下段中央は、ヒスイカズラというマメ科植物です。色も神秘的ですが、花の形が古代の勾玉(まがたま)みたいで印象的です。

<錦帯橋>

こちらは山口県岩国市なので、広島ではありません。日本三名橋のひとつで他2つ(日本橋/東京、眼鏡橋/長崎)は既に渡っており、かつ広島中心部から車で1時間程度の距離なので思い切って行きました。橋は木造で全長193m、幅5m。5連の美しいアーチを描いています。橋を渡った先には、旧岩国藩主吉川家の居館跡として白壁の美しい街並みが残っており、一見の価値ありです(残念ながら建物の中へは入れません)。

最後は、旅行中の食事について。今回、最もインパクトを与えてくれたのがお好み焼きでした。広島のお好み焼きを誤解していました。大阪の粉ものお好み焼きがベースになっていて、焼きそばの入っていることが相違点だと思い込んでました。お恥ずかしい…これ、大間違いですね。小麦粉の粉を薄くのばしてキャベツ(お店によってはさらにもやし)、豚肉を山盛りにした上へ、薄く焼いた卵などを重ねて蒸し焼きにしてるんですね。これにドハマりしてしまい、旅行中に3回ほどお店を替えてトライしました(笑)。もちろんお好み焼き以外も食べました。写真下段は、左から岩国寿司(錦帯橋)、穴子めし(宮島)、汁なし担々麺です。いずれも美味でした。それでは、また次回。

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