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2019年11月

  • 116号/東証市場再編とピッチコンテスト(25日)
  • 115号/君が代と涙(18日)
  • 114号/「おめでとう」から「ありがとう」(11日)
  • 113号/エディさんから学ぶIR(5日)

20191125日/116号 東証市場再編とピッチコンテスト

関東では先週末、気温が下がり、雨も降り日中でも10℃以下でした。寒かった~。21日付日経新聞に東証の市場改革の記事が掲載されていました。どうも記事からは進展具合がわかりません。ほんとうはそんなことないと思うのですが…で、金融庁の金融審議会「市場構造専門グループ」の討議資料(11月20日付)を読むといくつかヒントが見えてきます。

 

(市場構造の見直し論点資料)

 

現状の4市場(東証1部、2部、マザーズ、ジャスダック)を3市場へ再編(プライム、スタンダード、グロース/いずれも仮称)することは既に認識されています。その中で企業や投資家のいちばんの関心事は、東証1部の再編でしょう。それを反映するかのように資料でも割かれているページ数は、プライム市場がもっとも多くなっています。記載されているいくつかの論点から挙げてみます。下記だけでは誤解される恐れがありますので、ぜひ上記の「市場構造の見直し論点資料」全文を一読願います。

 

上場基準等

時価総額は重要な基準であるものの、時価総額だけではなく流動性やガバナンスといった他の基準を合わせて検討することが重要。

 

時価総額

現在、マザーズを経由した一部市場への上場基準は、一部市場に直 接上場する際の時価総額よりも緩和された基準となっているが、所要 の経過措置を設けたうえで、これを高い方の基準に一本化してはどうか。

 

流動性

プライム市場のコンセプトとして、投資家との建設的な対話を企業価値向上の中心に据えるのであれば、投資家との対話の実効性を高めるため、株主構成がいわゆる安定株主によって占められているよりも流通株式の比率が高い方が経営に対するガバナンスが働きやすく、より建設的な対話が行われるのではないか。

 

ガバナンス

コーポレートガバナンス・コードに加え、上場企業の持続的な企業価値向上を動機付けるために、例えば、社外取締役の数・割合、英文開示の実施など、一定の事項について強制適用となる上場基準とすることについてどのように考えるか。

 

経過措置

既存の一部上場企業は、上場基準・退出基準 に関する新たな時価総額(流通時価総額)に関する基準を満たしていない場合であっても、プライム市場の選択を希望する場合には、ガバナンスについてのコミットメントを行う限りにおいて、プライム市場 への上場・上場維持を基本的に認めてはどうか。また、既存の一部上場企業が、流通株式比率に関する基準を満たしていなくともプライム市場の選択を希望する場合には、当分の間、流通株式比率の向上に向けた取組み等を策定・開示することにより、プライム市場への上場を認めてはどうか。

 

金融審が苦労して再編案を検討されているのが伝わってきます。また、企業にとっては、どんな点に注意を払うべきか、ぼんやりながら見えてきませんか?今後の流れですが、日経によれば、金融審は年内に報告書をまとめ、それを受け東証は具体的な制度設計に入るとのこと。

 

マネーフォワード社の「お金のエキスポ2019」へ行きました。ファンドピッチコンテストを聴講するためです。昨年も聴講して、内容をメルマガ71号(アクティブファンドピッチコンテストにて)に書きました。今年は、4名の運用自慢ファンドマネージャーが登壇され、魅力をアピール。その後、聴講者が自らのスマホで、付与された100点から1点刻みで得点を入力します。

(1)セゾン投信、瀬下哲雄氏、運用部長、ポートフォリオマネージャー

(2)三菱UFJ国際投信、安井陽一郎氏、株式運用部海外株式グループチーフマネージャー(3)アセットマネジメントONE、岩本誠一郎氏、株式運用グループファンドマネージャー(4)フィデリティ投信、丸山隆志氏、取締役副社長、運用本部長兼最高投資責任者

 

結果ですが、優勝されたのは(2)三菱UFJ国際投信の安井マネージャーです。

 

同氏は20年来外国株式に係わっており、「メジャー・リーダー」という米国株式ファンドを運用されています。いちばん聴講者に響いたのは「大型成長株」という言葉でしょう。日本だと中小型株が成長株とのイメージが強いところ、米国ではアマゾンやフェイスブックなどの大型株が成熟・停滞することなく、依然成長しており、そんな企業へ投資していることをプレゼンされました。前段として米国景気の堅調さを様々な指標で提示された後で。

 

聴講者は20代、30代の若い人が多数。そんな人たちが米国株式ファンドに高い得点を与えたということは、プレゼン内容や伝え方の上手下手はあったにせよ日本企業の株って魅力ないよね、という結果ではないでしょうか。正直、私にとっては驚きであり、ショックでもありました。せっかく投資するなら米国株でなく、日本株へ向かって欲しいのに…株式市場再編で土俵を整えることに目か向きますが、今回の結果はそこで競う企業群が強く魅力的でなければ投資家は目を向けてくれないという当たり前のことを再認識させてくれました。ディア・マスターズはIR支援で企業価値向上を引き続き応援していきます!それでは、また来週!

20191118日/115号  君が代と涙

日経新聞によると新興市場を除く上場企業2020年3月期の中間決算純利益は前年同期比14%減とのこと。通期見通しでも7%減。前期に続く2期連続の減益は金融危機以来だそう。皆さんの会社はいかが?

 

11日付け114号『「おめでとう」から「ありがとう」』へメッセージをいただきました。

『板倉さん ご無沙汰ですが毎週メルマガを感心しながら、楽しく拝読させていただいています。昨日、令和天皇の祝賀パレード「祝賀御列の儀」の見物に行きました。青山通りだったのですが人人…で小生は全然見ることが出来なかったが、小生とはぐれてしまったワイフとワイフの友人が幸運に恵まれバッチリ見ることができ、光景をカメラに収めました。昨夜から今朝にかけ何度もTVに登場する光景ですが、あまりにもバッチリ撮れているので送ります。』

私も即位パレード、しっかり見ました。テレビの前からですが、午後3時に皇居を出発され、赤坂御所へ到着されるまで。「へぇ~」と感心したのは、国歌が皇居出発時と御所到着時の2回演奏されたこと。特に御所へ到着されて、建物内へお入りになる前の演奏には少し驚くというか、何のため?と正直、思ったところはあります。国歌と言えば、ラグビーワールドカップで<国歌で世界をおもてなし>が話題になりました。おぉっ、今回もラグビーネタだ(笑)。

 

国歌(君が代)斉唱で一番記憶に残ったのは、南アフリカ戦でのシーン。整列して歌っている選手の何名かは、目に涙をためていました。流選手はしっかり泣いていたぞ。また、観客席が映されると、そこにも歌いながら泣いている人が多くいました。実際、試合会場にいた方は、「君が代を歌って初めて泣きました」とおっしゃってました。

 

オリンピックで金メダルを獲得、表彰式の国旗掲揚で君が代が演奏される中、選手が涙する姿を見て泣くというのは、私がそうですが誰しも経験あるのでは。これって生理的な涙とは全く違って、感情によって涙を流すのは人間だけと言われる行為そのもの。散財後の勘定によって涙することもありますが(笑)。メダルを獲った選手は、つらい練習やそれを支えてくれた周囲などを振り返ってのうれし泣きでしょう。私を含めてそれを見て泣くのは、もらい泣き。選手にしても、私にしても感極まってのことに違いはありません。

では、どうして感極まると泣いてしまうのでしょうか?きちんとしたメカニズムは、解明されていないようですが、やはり「共感」が関係しているようです。ふた昔前に「ドジでのろまな亀ですが~」がはやりましたが、あれは「教官」が相手でしたね(『スチュワーデス物語』です、念のため)。

 

南アフリカ戦で日本代表選手が君が代を歌う姿を見てグッときたのは、厳しい練習やサポートしてきた周囲への共感はもちろんですが、もっと大きな要素は、ひょっとしたら代表選手の多様性ではないかしらと思うのです。代表31名の日本以外の出身地は、ニュージーランド、オーストラリア、トンガ、サモア、南アフリカ、韓国と様々です。まさにダイバーシティーを体現しています。そんな選手連中が、声を上げて君が代を歌い、これから日本のため体を張って戦おうとしている姿に感動するからではないかと考えてしまいます。

 

対戦相手の南アフリカ国歌についても日本の国歌斉唱と同じ状況でした。ところで、今回初めて聞いた南ア国歌で驚いたことがあります。何だと思います?

①  歌詞バージョンは、複数言語ある

②  一曲の歌詞構成は、複数言語からなる

③  メロディー(作曲)バージョンは、複数ある

 私は①歌詞バージョンが複数言語ある、だと考えていました。が、正解は②。1曲の歌詞がコサ語、ズールー語、ソト語、アフリカーンス語、英語5言語で構成されています。

YouTube

 

1997年にマンデラ大統領が、民族和解と協調政策の一環として2つの曲を一つにして国歌分裂を防ごうとしたのが背景にあります。人によって歌えないパートがあるとか、あえて歌わないパートがあるようですが、国の歴史・生い立ちを思い出し、きっと奮い立つに違いありません。日本にしても、南アにしても一国家、まさに各人が持つOne Teamへの共感が涙を誘っているんだろうな。また、歌は聞くものであると同時に歌うものであるから、自ら口を開け、声を出して歌うことで共感が増幅されるはず。共感を高めることは仕事だけに限らず求められることが多いと思います。君が代斉唱と涙の関係からヒントが得られればと思います。それでは、また来週!

20191111日/114号 「おめでとう」から「ありがとう」

8日(金)に立冬を迎え、暦の上では冬。来月22日(日)の冬至に向けさらに日が短くなります。時のたつ早さを感じる季節でもあります。11月5日付メルマガ113号(エディさんから学ぶIR)へメッセージをいただきました。ありがとうございます。

 

『板倉様 ご無沙汰しております。○○の▲▲です。お元気ですか?板倉さんが独立されてからずっと、このメールマガジンを送付いただき毎回楽しく読ませていただいておりました。ご連絡させていただいたのは、今月で××を退職することになりまして、(今年2月にオランダ人と結婚しまして、アムステルダムに引っ越すことになりました。)メールアドレスの変更をお願いできますでしょうか。あちらに行ってからも、いろいろと情報楽しみにしております。よろしくお願いいたします。』

 

ここ12か月のメルマガを読み返していました。ラグビーワールドカップの話題を必ずとりあげていることに気づきました。にわかファンの面目躍如。で、今回もこりずにラグビーの話題ですが、おつきあいください。

 

NEC主催の「ラグビーワールドカップ2019から見えたもの~勝つ組織マネジメントとラグビー精神」と題したセミナーを聴講しました。登壇者は以下の豪華な顔ぶれで会場の有楽町フォーラムは超満員でした。

 

田中史郎(日本代表スクラムハーフ)

廣瀬俊郎(前日本代表キャプテン、「ノーサイドゲーム」浜畑役)

中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター、メルマガ68号「ラグビ      -は奥深い…」で紹介)

村上晃一(ラグビージャーナリスト)

 

村上さんが司会となって90分間対談。進行がお上手で硬軟とりまぜながら他お三方から本音を引き出してくれました。廣瀬さんが前回ワールドカップ前にキャプテンをはずされ、ベンチ入りもしていないこと初めて知り、驚きました。「どうしていいか?というほど落ち込みました」と吐露されました。でもすごいのはそこから。その立場になって自分にできることは何かを徹底的に考えぬき自ら行動。選手を鼓舞するためラグビー関係者、トップリーグ選手、OB、知人・友人など数百名からビデオメッセージを集めたそう。それを南ア戦前の控室で上映。これで選手の士気が上がらぬわけがありません。「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南ア戦の勝利の裏には、そんなことがあったんだ、とにわかファンにとってはうれしい裏話でした(笑)。

 

田中選手は、前回(英開催)は大会終了後に会った人から『おめでとう!』と言われたが、今大会では『ありがとう!』と言われる、という話をされました。初めてお会いする方からも言われるそう。前回、今回とも共通するのは、うれしい気持ちに変わりはありません。違いは、前者は自分事でなく他人事としての喜び。一方、後者はまさに自分事としてのうれしさを感謝する気持ちが含むまれているのでは、と分析されていました。また、今回の『ありがとう』という言葉を聞きチームだけでなく、まさに日本がOne Teamになったのかなぁとも言われました。

私自身にとって、クライアントからの言葉が「おめでとう」から「ありがとう」へ変わるのはどんな時だろう?と考えました。IR支援の仕事を通じてクライアントから「おめでとう」と言われることはないけれど、「ありがとう」と言われることは結構あります。この「ありがとう」に違いがある(あった)のだと気づきました。二種類あって一つは「(教えてくれて)ありがとう」だと思います。もう一つは「(できるようにしてくれて)ありがとう」です。前者は当然のことであり、常に後者を目指していることは言うまでもありません。田中選手の言葉に気づきをもらい、今まで以上に「できるようにしてくれて、ありがとう」にこだわりたいと思います。皆さんも「おめでとう」と言われる仕事の先にある「ありがとう」と言われる仕事って何だろうと考えてみてはどうでしょうか。それでは、また来週!

2019115日/113号  エディさんから学ぶIR

日暮れはどんどん早くなり、朝晩肌寒く感じる時も増えてきました。気がつけば2019年も2か月を残すのみ。10月28日付メルマガ112号(徳井さんの記者会見)へメッセージをいただきました。ありがとうございます。

 

『板倉さん、いやぁ~イギリスが勝ちましたね。私は「ニュージーランドが勝つだろう」と思い見ていましたが、「予想外」でした。ゲームが始まったらイギリスのしたたかな戦いぶりに少々ビックリでした。TVに以前日本のコーチだったエディ・ジョーンズの画像が映り「彼の戦略勝ちなんだ!」と妙に納得でした。日本が前回大会で、南アフリカに奇跡の勝利を達成した時の功労者ですから。明確な目標設定、自分達のレベルアップ、そして戦略って、会社も一緒ですね。(後略)』

 

イングランドは、準決勝ではニュージーランド相手に素晴らしい勝ちを収めました。が、決勝の南ア戦では、同じチーム?と思えるような負けを喫しました。メッセージにもありますが、チームを率いてきたヘッドコーチ、エディ・ジョーンズとはどんな人なのか?幸いエディ本は何冊も出版されており、読み進めていたところへ、昨日(4日)日経スポーツ欄見出しに「知将、届かぬあと1勝」「アウトサイダー、旅は続く」とありました。感じるところのあったエディさんの言葉を取り上げます。

 

『成功は準備がすべて』

エディさんの根本を貫く考え方がこれです。そもそも準備をしない人は怠慢、あるいは自分に妙な自信があるのかもしれないが、怠慢や過信を見直して準備をきちんと行わない限り成功は望めないと明言しています。

 

そして、準備とは努力とのこと。努力は100%のものでないと意味がないと言い切ります。80%や50%のものは、そもそも努力ではないと切り捨てます。また、いくら頑張っても、結果がでない人は、間違いなく「今よりよくなろう」という意識が欠けているからだとも。思わずドキッとしたのは私だけではないのでは?80%であれ50%であれ、努力は努力と考えてきました。エディさんもコーチした日本人選手で初めから100%の努力をしている選手は、ほとんどいなかったと言っています。80%や50%の努力を努力と認めないのは、結果が出なかった時の言い訳を用意していると考えるからなのだと思います。自称アウトサイダーのエディさんは、言い訳なしで常に結果を求められる立場にいたからこそ、ここまで強い言葉で表せるのでしょう。

 

『コントロールできることだけを考える』

日本で学んだ一番大きな考え方。コントロールできないことは、放っておく・考えることをやめる。(コントロールできないことを)心配するほど無意味なことはなく、心配が何かを変えることはないとも言っています。IRに例えると、株価自体はコントロールできませんが、株価形成に影響する要素を考えて、働きかけることはできるということでしょう。コントロールできないことを言い訳にしては、確かに解決への道を閉ざすことになりますね。エディさんは、あらゆる問題には、必ず解決策があり、解決のためには欠点を欠点ととらえるのではなく、ただの条件と考えることが勝利や成功への大きな分かれ目になると言っています。

 

『勇気とは慣れ親しんだ自分を捨てること』

勇気とは失敗を恐れないこととも言っていますが、こちら(=慣れ親しんだ自分を捨てること)の方がインパクトが強い・f。何をすればよくなるのか、多くの場合は分かっているのになかなか実行しない(できない)ことってありませんか?考えることと行動することには隔たりがあり、その間をつなぐものを勇気と捉えています。

 

そして、エディさんは選手が勇気を持ち決断したことについては、それが間違っていても絶対に批判してはいけないと説きます。なぜか?選手が次から(コーチに)依存してしまう、ミスを恐れるようになる、自信を無くすからです。この際、取り違えて欲しくないと言っているのは(コーチが)何もしないということでなく、決断に対する批判の口出しはなしですが、努力には口出しすべきということ。なぜなら、努力はコントロールできる要素だから。お説ごもっともと理解はしますが、これを実行するってほんとうに大変なこと。その大変なことを地道に継続されたからこそ、日本やイングランドをワールドカップでの大活躍へ導くことができたのでしょう。

 

他にも『物事のチェックは2か月ごとに』、『言葉を現実にする方法』等々、いくつも興味深い言葉があります。関心を持たれた方は以下をご一読ください。それでは、また来週!

 「エディ・ジョーンズとの対話 コーチングとは信じること」、文芸春秋、生島淳

「ハードワーク 勝つためのマインドセッティング」、講談社、エディ・ジョーンズ

「エディ・ジョーンズの言葉世界で勝つための思想と戦略」、ベースボールマガジン、柴谷晋

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