国内投資家、外国人投資家、個人投資家、証券アナリスト、IR支援会社などの属性に応じたアドバイスを行い、実務の部分まできめ細かくご提案
東京都知事選、投票してきました。投票所の小学校体育館には、猛暑日にも関わらず過去の選挙では見たことないくらいの人が来てました。都民の関心が高く、投票率が上がるのはよいことです。一方、選挙制度上の問題がいくつか明らかにったのも今回の特徴でしたが、これを機に選挙法の見直しが望まれます。
東洋経済オンラインに私の寄稿文が掲載されました。4月24日の掲載(今さら聞けない「機関投資家」っていったい何? IRのプロが渡り合ってきた伝説的な投資家 | 財務・税務 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)に次いで2回目となります。下記よりご一読いただければ幸いです。
7月3日掲載はこちら
「貯蓄から投資へ」一気に加速している納得の背景 馴染みのスローガンもついに終わりを迎えるか | 財務・税務 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
さて、先週の株式市場ですが、日経平均株価が4万円を回復し、一時4万1千円台を超えるところまで上昇しました。6月最終週の投資部門別売買動向では、海外投資家が6週間ぶりに買い越しており、7月に入ってもその勢いは継続しているようです。円相場が1ドル=161円台と、ほぼ38年ぶりの安値をつけたことで海外投資家にとっては、ドルベースでの日本株割安感が高まり買い進めやすくなりました。もちろん、個人投資家も黙ってはいません(笑)。個人株主数(上場企業の株主数を足したのべ数)は、2023年3月末で7,445万人と過去最高を更新しています。背景には、今年1月に始まった新NISAがあります。旧NISAの10年間の累計買付額は、35兆円だったものが、新NISAがスタートした1~3か月間だけで6兆円増加しているのですが、その勢いは足元でも継続しています。
毎年この時期に東証含む4証券取引所の2023年度株式分布状況の調査結果(要約版)が発表されますが、今年は7月2日でした。ディア・マスターズでは、定点観測を行っています。ポイントと思われる点をいくつか挙げてみます。
要約版はこちらから
(1) 投資部門別保有状況
最初に部門別保有金額ですが、全部門で前年度比プラスであり、上場3,984社の時価総額は史上初の1,000兆円を記録しました。前年度が744兆円でしたので、約36%増です。次いで部門別保有比率ですが、日本株最大の株主は、外国人という状況に変わりありません。保有比率は31.8%と2014年度の31.7%を越えて、過去最高となりました。30%前後のボックス圏から頭一つ抜け出した感があります。個人は、16.9%と前年の17.6%から減少しました。金融機関(証券会社は除く)は、前年比0.7%減の28.9%(このうち、信託銀行は0.5%減の22.1%)でした。
(2) 外国人
部門別保有比率が最も高かった外国人ですが、年間で約7.7兆円の買い越しです。2021年度、2022年度と連続して売り越していたので、買い越しは3年ぶりです。33業種中、28業種で保有比率はアップしていますが、トップ3は、1位=海運業(+4.9%/前年度比、以下同じ)、2位=医薬品(+4.3%)、3位=その他製品(4.1%)です。反対に下がった業種トップ3が1位=鉱業(▲3.7%)、2位=パルプ・紙(▲1.2%)、3位=金属製品(▲0.3%)です。
(3) 個人
2023年度の個人売買動向は、3.8兆円の売り越しでした。外国人とは反対の3年ぶりの売り越しです。業種別保有比率増減にも、逆張り投資ぶりが遺憾なく発揮されています。保有比率の上がった業種トップ3は、1位=金属製品(+1.8%)、2位=鉄鋼(+1.3%)、3位=食料品(1.2%)です。反対に下がった業種トップ3が1位=海運業(▲14.1%)、2位=空運(▲2.6%)、3位=水産・農林業(▲2.4%)です。外国人では、保有比率増加率が一番であった海運業を一番減らしています。外国人が保有比率を減らした金属製品を一番増やしている当たり、まさに面目躍如です。
(4) 信託銀行
信託銀行の2023年売買動向は2年連続の売り越しで、その額は8.7兆円と大きなものでした。保有比率の上がった業種の1位は、海運業(+4.4%)であり、これは外国人と同様に見立てです。一方、外国人が保有比率増加させた2位の医薬品について保有比率▲2.4%と最も減じています。今後の動向を見守りたいと思います。
(5) 事業法人
保有比率は19.3%と前年度から0.3%減じていますが、売買高は2004年から20年連続の買い越しです。背景には企業の積極的な自社株買いがあります。事業法人保有比率19.3%には、この自社株買いの株式4.4%が含まれており、それを除けば14.9%が事業法人保有と考えられます。
ぜひ、皆さんの会社の株主構成と比較してください。上場企業の株主構成比率に近づけることが必ずしも正解ではありません。株主構成比率は、企業ステージは言うまでもなく、業績や戦略・方針等に準じて考えるべきものです。そのイメージを持つことができない場合には、いつでもディア・マスターズへお声がけください。それでは、また次回!