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2020年11月30日/163号 師走を過ごす場所
明日から師走。きっといつものように怒涛の速さで暮れていくのだろうな。思えばコロナ一色の1年でした。働き方や暮らし方がこれほど大きく、加えて長い期間にわたり変化した年というのは経験がありません。皆さんにとってはどうでしたか?この時期、日経トレンディのヒット商品ベスト10を見るのが私の12月のお約束のひとつです。今年ほどランク入りしたものを、一つのこと(=コロナ)へ紐づけられるのは珍しいと思います。ランキングは以下のとおりです。
1位 鬼滅の刃(漫画・映画)
2位 マスク消費(日用品)
3位 あつまれぶどうの森(ゲーム)
4位 ZOOM(ビデオ会議システム)
5位 檸檬堂(レモンサワー)
6位 AirPods Pro(ワイヤレスイヤホン)
7位 モバイルオーダー(飲食店のスマホ注文)
8位 Shupatto(エコバッグ)
9位 今日から俺は!!劇場版(映画)
10位 ゴキブリムエンダー(ゴキブリ駆除剤)
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00379/00001/
私が知っているのは1位、2位、4位、7位と9位くらいです。皆さんはいくつありましたか?1位は社会現象になってますね。2位のマスクはもはや生活必需品。4位ZOOMも対面に代わるミーティングツールとしてなくてはなりません。7位は知ってはいても利用はしてないなぁ。9位は出演俳優の逮捕ニュースで知りました。
3位は「あつ森」と呼ばれているのですね。最初、ニュースステーションの「熱盛」かと思った(笑)。6位AirPods Proはワイヤレスイヤホンですが、当方がZOOM用に買ったのは真逆の有線イヤホンです。100均製なれどコスパ良しの優れもの。
同紙では2021年ヒット予測ランキングも特集しています。
1位 無人駅&辺境グランピング
2位 多視点スポーツ観戦
3位 ビヨンド副業
4位 Loop
5位 コオロギフード
6位 空間丸ごと紫外線除菌ライト
7位 EVERING
8位 配膳ロボット
9位 長野でテレワーク
10位 マイクロD2C
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00380/00001/
キーワードは「掛け合わせ」だそう。名著「アイデアのつくり方」(ジェームス・ヤング)にある「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」ものが多いですね。1位の「無人駅&辺境グランピング」は、無人駅があるような田舎とグランピングの掛け合わせ。そもそもグランピングという言葉を初めて知りました。これ自体、グラマラスとキャンピングからの造語です。要はキャンプ用品や食材・食事などがあらかじめ用意されていて、気軽に豪華なキャンプを人がいない辺境の地でも楽しめること。
2位の多視点スポーツ観戦は、5Gとポーツ観戦の掛け合わせ。世界最高峰の試合を自分好みの視点で観戦できたら面白いに違いない。スポーツ観戦と言えば来年の東京オリ・パラは開催されるでしょうか?あれほどオリンピック観戦チケットへ応募したのにオールはずれたのは、今思えば迷うことがなくよかった。一方、パラではフェンシングチケットが当選しており、どしようか考えているところ。払い戻し手続きは確か12月からのはず。
3位のビヨンド副業は、ダブルワーク・ダブル地方とあります。ビヨンドはbeyondゆえ、副業が活発化して従来の(副業の)イメージを超えた働き方が出てくるということでしょう。週末は地方で働くとか(その逆もあり)、リモートワークで東京から地方の仕事に取り組むとか、昭和世代の私には思いもよらない働き方が生まれてくるのでしょう。9位の「長野でテレワーク」は、この具体例に違いありません。
個人的には、2021年これが話題になるのではと期待するのは、「アートアクアリウム」です。(と、ここまで書いて、ググってみると何と今年で14年目なのね(笑)。人気にこたえ常設展示場が東京日本橋にできたのが今年8月なのでした…)一言でいえば「金魚美術館」です。金魚美術館と聞くと、お祭りの金魚すくいに毛の生えたような、何となくチープなものを想像されるのではありませんか。が、ウェブサイトを覗くだけでも、その既成概念は壊されるでしょう。
先週平日、ふらり一人で行ってきました。コンセプトは五感で感じる美術館とのこと。3万匹の金魚があふれんばかりの光と音の中を気持ちよさそうに泳いでいます。これも金魚屋・水族館と音・光を使ったディスプレイの掛け合わせに他なりません。これだけ規模(一人で回って1時間、家族・友人・カップルなら1.5時間はかかるのでは)が大きいと見ごたえも十分です。ただ一つ不満があるとすれば、大人一人2300円(税込)の料金。一般的な美術館の入場料より割高感はあり。とはいえ、見たことのない別世界が待っているのは間違いありません。忙しい師走にこそお試しください。それでは、また来週!
2020年11月24日/162号 IR優良企業賞とSDGs調査
11月も終盤にさしかかりました。先週は1週間丸々、小春日和というには暖かすぎる毎日でした。コロナウイルス第3波が襲来し感染者数は激増。私の周辺でも陽性者が出た、との連絡を複数の方から受けました。私自身はいたって健康に過ごしていますが、自らの周辺で感染者が発生したこともあり、緩んでいたふんどし(久しぶりにこの言葉使いました(笑))を締め直したところ。10人超の会食(飲み会)に出席する予定がありましたが、辞退しました。皆さんの周りでは、お変わりありませんか?これから年末に向けて忙しくなる時期です。どうかご自愛ください。
先週19日、日本IR協議会から第25回IR優良企業賞が発表されました。応募企業は284 社。会員企業数は約600社で、そのうち9割程度が上場企業と記憶しています。それゆえ応募したのは会員上場企業の半分くらいの計算になります。今回、選定に際し重視されたのは、以下の取組みです。皆さんのIR活動に照らしてみていかがでしょうか。
① 業績見通しの開示が難しいなかでも、新型コロナウイルス感染拡大の影響やリスク情報 などをできるだけ早く、適切に開示する取組み
② いわゆる「新しい生活様式」の導入に伴い、開示や対話の仕組みを工夫して、中身を充実 させる取組み
③ 持続的な社会の実現に向けての経営戦略の構築と、情報開示・対話を深める取組み
④ ESG(環境、社会、ガバナンス)の視点を経営に取り入れ、非財務情報も活用して開示し 中長期の企業価値向上を目指す取組み
⑤ 個人投資家を中心に、IR情報に関心を高めるステークホルダーに理解しやすい情報発信 や、新しいIR活動を導入する取組み
⑥ 先行きの見通しが難しい中、リスクの認識を早めに示し、対応していることを示す取組み
284社中、受賞企業は優良企業大賞3社、優良企業賞6社、優良企業特別賞3社、優良企業奨励賞2社の合計14社です。
IR優良企業大賞:
ソニー
ダイキン工業
丸井グループ
IR優良企業賞:
小松製作所
J.フロント リテイリング
中外製薬
日本電信電話
日立製作所
ミネベアミツミ
IR優良企業特別賞:
エフピコ
花王
不二製油グループ本社
IR優良企業奨励賞:
オイシックス・ラ・大地
鴻池運輸
経営トップの積極的な関与は選定理由の毎回のお約束として、今回の特長は「新型コロナの影響が出るなかでも投資家の関心を踏まえて情報開示を充実させ、対話の仕組みを工夫した企業が目立った」(佐藤淑子日本IR協議会専務理事)ことにあるようです。
ESGの情報開示について、どうすればよいか?との問い合わせを受けますが、今回受賞企業の各IRサイト、決算説明資料、統合報告書などはとても参考になるものが多いと感じます。具体的な情報発信の方法ついては、ESG説明会などのイベント・ミーティング開催や統合報告書の新規作成、あるいはその改善といった取組みが評価されています。
「日経SDGs経営調査」(日経新聞朝刊11月17日付)によれば企業のSDGs基本方針が何に反映されているかとの問いに「中期経営計画」が73.4%で1位。次いで「経営戦略」の63,6%、そして「企業行動に関する規範・指針」の60.6%と続きます。これは企業のSDGs活動は、もやは単なる環境対策ではなく、全社的な経営方針に組み込まれた活動になっていることを示しています。IR優良受賞企業各社の選定理由もそれを裏付けるものと思います。
一方、同経営調査には気になる結果もあります。投資家向け個別訪問(取材)でSDGsを説明した回数が50件以上の企業が1割あった半面、「投資家とのSDGs関連の対話をしていない」企業は、それ以上の16.1%あったとのこと。経営方針に組み込んではいるものの、奥ゆかしく自らは口に出して説明していないということでしょうか。そうであればもったいなさすぎます。
SDGs活動を語ることは、投資家視点におけるESG投資について語ることに他なりません。SDGs活動を通じての貢献を投資家に理解してもらうことは、投資資金を引き寄せるため従来以上に大切になっています。次の取材から自らの言葉で会社のSDGs活動を語ってください。投資家のあなたを見る目が変わるはずです。それでは、また来週!
2020年11月16日/161号 オジサンの結束
14日付け日経朝刊の第1面に『官学で10兆円基金』との見出しで記事がありました。国の資金と大学の資金を合わせた基金を立ち上げ、その運用益で研究基盤の整備を図ることが目的です。文中には「主に海外の運用機関に委託し、株式や債券に投資する」とあり、これを受けて早くもSNSでは国内の運用機関を茶化したり、逆に叱咤激励する投稿が出されていますね。記事には、米ハーバード大学は4.5兆円を運用し、利回りは7%程度に上るとありました。
そういえば、この大学の運用機関であるハーバード・マネジメント・カンパニーをボストンで取材したこと思い出しました。時期は2015~2016年、相手は中国系アメリカ人の女性ファンドマネージャー。具体的な数字を確認する質問が多かったと記憶。初見の取材時、米国での大学の基金運用についてうかがうと、いくつか教えてくれました。全米で約800大学の基金があり、運用資産合計は40~50兆円。ハーバード大学は、その中でも運用資産4兆円で最大等々、ちょっとドヤ顔だったなぁ(笑)。日本では、国と大学の資金出資比率とか、そもそも大学側の財源の確保など課題は多いようですが、先を見据えた長期計画で基金運用を成功させて欲しいものです。
最近、IRでの起業について相談を受けました。振り返ると、同様の相談を受けたのは今年に入って4人目。(起業の)話を聞きたいと言ってもらえるのは、多少なりともディア・マスターズの知名度・認知度が上がったからからに違いないと、ひとりごちています。私は前職を辞め、ディア・マスターズを立ち上げたのは55歳でした。4名の簡単なバックグランドは、以下のとおりです。
氏名 : Aさん(男性)
年齢 : 50代半ば
前職 : IR支援会社
状況 : 早期退職するが、再就職・起業するつもりはない。フリーランスとしてIR関係の
仕事を検討したい。
氏名 : Bさん(男性)
年齢 : 50代半ば
前職 : 外資系証券会社(コーポレートアクセス)
状況 : 起業され、会社設立済み。積極的に営業活動を推進中。
氏名 : Cさん(男性)
年齢 : 59歳
前職 : 外資系証券会社(コーポレートアクセス)
状況 : リストラ退職を機に、起業を検討中。IR業界20年のキャリアを活かしたい。
氏名 : Dさん(男性)
年齢 : 60歳
前職 : 運用機関(海外在住)
状況 : 60歳を機に独立。会社設立済みで、活動をこれから本格化していく。
Bさんは、前々からコーポレートアクセスでの経験を活かしたIR支援会社を立ち上げたいと考え、タイミングを見計らっていたとのこと。それゆえサービス内容は考えこまれたもので、前職で築いた人的ネットワークが最大限に活かされています。特に海外IR関係では、独自(と思われる)サービスを提供しています。関心・興味ある方はお気軽にお知らせください。
一方、今年ほど外部環境が起業に際して影響を与えた年もないでしょう。皆さんお察しのとおり、コロナ禍です。Cさんは、最近お話をした方ですが、コーポレートアクセスとして少なくともあと3年間は務めるつもりでした。そして起業は、IR関係にこだわらないで資格や趣味を活かしたものにしたい考えでした。が、その願いは今ではかないません。会社側は業績厳しい折、コーポレートアクセスそのものを無くしてしまったそうです。現在、起業のヒントを模索されていました。
Dさんは、バイサイドとして素晴らしい実績をお持ちです。私もIR担当時代には取材で幾度かお世話になりました。日本株を含めた汎アジア株式を20年近く運用されてきました。起業される際のビジネスプランでは、海外在住地と日本を自由に往来できることが前提でしたが、コロナ禍で環境は一変です。幸いオンラインによるコミュニケーションが手軽にとれるので、往来復活まではそれを最大限に活用されるそうです。海外投資家の本質(日本企業のどこへ着眼して投資するのか)をお知りになりたい方は、迷わずお問い合わせください。
Aさんは、ある意味うらやましい早期退職です。フットワークが軽く、様々な活動をされているようなので、退職後は一つ事に縛られることは避けたかったのかなとお察ししています。夏場に話をして以来なので、近況をうかがってみようと思います。
4名とも一大決心をされており、ディア・マスターズとして応援できることへは力を惜しまぬこと伝えると同時に、お互い協力できるところは、そうしていく話をしています。オジサン同士の結束は固いのだ(笑)。それでは、また来週!
2020年11月10日/160号 芸術の秋で決意新た
米大統領選挙は8日のバイデンさん勝利宣言で落ち着くところへ落ち着いた印象。宣言冒頭では10歳は若返って見えた。『私は分断ではなく、結束を目指す大統領になることを約束します。赤い州か青い州かではなく、ひとつのアメリカ合衆国として』と演説されました。この言葉はとても新鮮に感じられ、良いこと言うなぁ~と思ってしまった。大統領としてごくごく当たり前の言葉ですが、トランプさんの口からは最後まで聞くことが無かったからでしょうね。まずコロナ対策から取り組むことを宣言され、専門家チームも発表されました。
そのコロナによる国内新規感染者の拡大のため北海道旅行をキャンセルしました。旅行といっても札幌一泊二日の小旅行で、美味い物食らおうツアーだったのですが。サッと行ってサッと帰ってくる予定だったのに何と間が悪いことか。先月のオランダ旅行中止といい、今年は旅行とは縁遠いようです。救いは金銭面での実害が出ていないことでしょう。そもそも罹患していないことをもっと喜ぶべきなのかもしれません。ファイザーのワクチンが一日も早く承認されることを期待してます!
食欲の秋がだめなら、芸術の秋で。サクソフォン(サックス)のコンサートへ行きました。主催はピクテ投信投資顧問。演奏者は上野耕平さん。ピクテはメルマガ26号(2017年12月11日付、バイオリニストはアスリート)でも書きましたが、ピクテ・パトロネージュ・プロジェクトと題した若手有望アーティストを応援する活動があり、その一環で開催されたコンサートです。会場はサントリーホール。通常2500名収容できる大ホールで、入場者を500名に絞ってのコンサート。重ねて言えば、無料であり、かつ抽選でなく申し込み順で良い席へはめこんでくれたので、申し込み番号36番の私は、1階席の前から7列目という普段ならとれない席で聴くことができました。ピクテの投信を購入しているわけではないけれど(汗)、その太っ腹には大感激です。
上野耕平さんは茨城県東海村出身。1992年生まれ、東京芸大卒で御年28歳。サクソフォン奏者としては既に人気も実力もある方。と言われても初耳だし、そもそも演奏を聴いたことないし~とたかをくくっていたら、最初の曲『ニューシネマパラダイス』でガツンとやられた。包み込むような、なんて優しい音なんでしょう!今まで聞いたサクソフォンの音色とは別物みたい。
https://www.youtube.com/watch?v=k50bjbXr6Mc
サクソフォンは、私のイメージではジャズ音楽の楽器です。実際、アドルフ・サックスによって考案、製作されたのが1840年代の中頃。サックスにとってアンラッキーだったのは、その時代にはモーツァルトやベートーベンといった大御所作曲家は既に他界しており、クラシック音楽に採用されなかったこと。その後、サクソフォンはアメリカ大陸に渡りジャズ音楽で息を吹き返して今日に至っています(上野さんからの受け売り(笑))。ある意味、サクソフォンと言えば、ジャズを連想するのは当然なのですね。
上野さんは、それを承知のうえクラシックへサクソフォンを積極的に持ち込まれています。また、ビゼー「アルルの女」やラベル「ボレロ」等、サクソフォンをオーケストラで用いた曲を演奏されているのは言うまでもありません。曲の合間のトークでは「サクソフォンは、(クラシックでは)いちばん声のかかりにくい楽器で、職に就けない楽器なんです」と自虐的に言われてました。だから、来年から海外へも積極的に展開するなんてことも言われました。どっちにしても、若くて実力ある日本人が海外へ打って出ることは素晴らしいことで、素直に応援したいものです。
帰宅後、ググってみると上野さんの師匠である須川展也さんの存在が大きいようです。ソリストとして活躍されるだけでなく、クラシック曲をサクソフォン用にアレンジしたり、現代の有名作曲家にサクソフォン用の楽曲を多数依頼するなどしてサクソフォンのすそ野を広げ、存在感を高めることに尽力されてきた方です。東京芸大では、上野さんの他にも有能な奏者を育成されているとのこと。この須川さん、何と1961年7月生まれで、まったくの同学年・同年齢(59歳)ではないかい!
察しのよい皆さんなら、私の言いたいことおわかりですね。ディア・マスターズはIRの須川さんとなり、クラアイントには上野さんのような人気・実力を兼ね備えたIRパーソンになってもらうべく、これからも全力支援することを誓います!それでは、また来週!