国内投資家、外国人投資家、個人投資家、証券アナリスト、IR支援会社などの属性に応じたアドバイスを行い、実務の部分まできめ細かくご提案

お気軽にお問合せください

080-9195-3710
受付時間
9:00-17:00(土日祝除く)

2024年6月

  • 266号/光る名前と株主総会(24日)
  • 265号/NHKニュースとIRの目的(10日)

2024624日/266号  光る名前と株主総会

今日はクイズからスタートします。次の名前(いずれも男性名です)は何と読むでしょうか。

 

     小野寺 吟雲

     根附 海龍

     白井 空良

     佐々木 音憧

 

上から順に「ぎんう」「かいり」「そら」「とあ」と読みます。私は「そら」さんがわかったというか、多分そうだろうと思った程度です。他3名は???でした。

 

続いて第2問。4名の共通点は何?

 

答えられた方、かなりのスケボー通ですね。ということで、皆さんスケボー選手です。そして現在、ブタペストで開催中のパリ五輪予選シリーズの最中です。その結果によりポイントランキングの高い順に3名が代表に選ばれます。

 

スケボー男子と言えば、東京五輪金メダリストの堀米選手が記憶に新しいですが、先の4選手に次ぐ5番手につけており、ブタペストの結果次第では、大逆転で選ばれる可能性が残っています。堀米選手は1999年生まれの25才。三井住友DSアセットマネジメント所属。名前は、雄斗。「ゆうと」と素直に読めますね(笑)。先の4名の生年は番号順に2010年、2003年、2001年、2007年であることから察するに、2000年頃を境に名前の付けかたがコロッと変わったかのようです。こういう当て字読みを使った名前をキラキラネームというそうですね。親御さんからすれば、子供の個性は名前からと考えてのことなのでしょう。それにしても保育園・学校の先生や病院・役所で働く方のご苦労、お察しします(笑)。

 

 

さて、今週3月期決算企業の株主総会開催が山場を迎えます。25日約400社、26日約540社、そしてピークとなる27日約700社と続きます。皆さんの会社の総会はもう終了しましたか。今年は、6月に総会を開く企業で株主提案を受けたのが91社になるそうで、3年連続の最多更新です。そういえば、6月初めの日経新聞にアクティビストであるストラテジックキャピタル社が、見開き2ページ全面に株主提案の概要について、賛同を得るための広告を出していました。ほぼ1面に近い紙面を割いて説明していたのがダイドーリミテッド(スタンダード市場、3205、繊維製品)に対する株主提案です。他にも6社ほどの名前が挙がっており、合計7社への株主提案となっていました。

 

アクティビストに限らず、バイサイドが上場企業を見る目は、年々厳しくなっています。613日日経には以下の記事がありました。「アセットマネジメントOneは、取締役選任に関し、株主がどれだけ利益を得たかを示す株主総利回り(TSR)の基準を導入した。」「大和アセットマネジメントは、直近3期の自己資本利益率(ROE)が同一業種内で下位33%水準を下回っている(PBR1倍以上は除く)などの基準で取締役選任に反対する。」

 

アセットマネジメントOneP9、⑥参照)

ガイドライン (am-one.co.jp)

 

大和アセットマネジメント(P4、⑤参照)

議決権の行使に関する方針(国内株式) (daiwa-am.co.jp)

 

バイサイドが自社の議決権行使基準を厳格化するのは、行使助言会社の動向も影響しているのかもしれません。皆さんご存知のISSは、経営トップの取締役選任について「ROE5%基準」適用を再開しました。過去5期平均ROE5%を下回り、かつ改善傾向が見られないとアウトです。コロナ禍で一時停止していたものを再開したことになります。グラスルイスは、取締役選任についてジェンダー・ダイバーシティの基準を厳格化しました。

 

では、実際の総会の運営(形式やツール等)はどうでしょう。私自身が株主となっていたり、お付き合いのある企業、約10数社(大型株が8割)を見る限りでは、大きな変化は感じられません。

 

コロナの世になって、バーチャル化推進の動きが生まれました。株主総会もご多分に漏れずその流れはありましたが、5類へ移行して丸1年が経過した今、それはほとんど進展していません。少なくとも上述約10数社は、すべて会場でのリアル総会オンリーです。総会のライブ配信くらいは、という視点で見ても5割に届くかどうかのレベルです。

 

招集通知はどうかというと、電子提供措置をとることを理由に(招集通知の中で)事業報告について一切、記述をしていない企業が1社ありました。最初は、企業側の前代未聞の大チョンボかしらと驚き、何回か見直したくらいです。長年の自分の「当たり前」というのはこういうところから変わっていくのかもしれませんね。

 

最後に、招集通知の表紙に総会の日時、会場、議案の記載をしていない会社が1社ありました。しかも表紙をめくって次のページにもありません。もう1枚ページをくると、ようやくありました。が、これはない!と言いたいですね。皆さんの会社の招集通知、大丈夫ですか?

 それでは、また次回!

 

 

 

2024610日/265号  NHKニュースとIRの目的

金融市場で長年共有されてきた格言には日常生活にも活かせるものが少なくありません。6月初めの日経土曜版にトップ10が掲載されていました。個人的には3位の「頭と尻尾はくれてやれ」に共感します。欲張りすぎず、ほどほどで満足すべし、ということにつながります。皆さんが共感するのはどれでしょう。

 

1位 人の行く裏に道あり花の山

2位 強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観のなかで成熟し、幸福の中で消えていく

3位 頭と尻尾はくれてやれ

4位 卵はひとつのかごに盛るな

5位 「もう」はまだなり、「まだ」はもうなり

6位 相場は相場に聞け

7位 相場は明日もある

8位 買いは技術、売りは芸術

8位 利食い急ぐな損急げ

10位 二度に買うべし、二度に売るべし

 

 

65日、夜7時のNHKニュースに驚きました。女性キャスターが大和証券を「ヤマト」証券と言ってしまい、あわてて「ダイワ」と言い換えた件ではありません(笑)。東証スタンダード市場に上場するAbalance(エーバランス)社(電気機器、コード3856、太陽光パネル製造販売)のIR担当元執行役員の堀内信之氏が金融商品取引法違反インサイダー取引の罪で起訴された事件です。同日の日経朝刊社会面に「再エネ企業の元執行役員告発 インサイダー疑い」の見出しで小さく出ていたのですが、NHKが夜7時のニュースでわざわざ取り上げ、かつ関係者のコメントも加えて放映するなど予想以上にセンセーショナルな扱いだったことに驚きました。

 

新聞やネット記事によれば事件概要は、次のようです。231月、執行役員(IR広報室長兼経営企画室長)としてAbalanceへ入社。同月中旬ごろ、ベトナム子会社(太陽光パネルの製造販売)の工場建設に関する重要事実を知ります。同月下旬、同社株19,400株を約5,300万円で買い付け。翌月(2月)10日、同社はベトナム工場建設の取得について適時開示。2千円台だった株価は、一気に3千円台後半へ急騰(同年4月には1万円台をつけるまで上昇)。この後、買い付けた株を売り抜けて約5千万円の利益を得ます。

 

IR広報の執行役員として入社して早々に重要事実に基づくインサイダー取引に手を染めたことや5千万円という金額の大きさは確かに耳目を集めるものです。が、しかしそれだけを理由にNHKが全国ネットの看板ニュース番組で報じるでしょうか。ちょっとした違和感を持ったのですが、堀内氏の経歴を知り合点がいきました。

 

同氏は1964年生まれの60才。Abalance社入社までの経歴は次のようになります。

 

19864月 日動火災海上保険株式会社入社

19903月 東京証券取引所入所

19967月 日本先物取引協会 企画調査部国際調査課係長

199912月 日本証券業協会 店頭市場プロモーション室主任調査役

20014月 ジャスダック広報室長

20104月 大阪証券取引所エクイティ本部

201310月 株式会社FPG広報・IR部門責任者

20155月 株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー広報・IR室長

20159月 株式会社日本證券新聞社取締役

2017年11月 株式会社ハウスドゥ執行役員COO経営企画本部長兼広報・IR部長兼事業戦略室長

2018年9月 ケイアイスター不動産株式会社 執行役員経営企画本部長 広報・IR部門統括

2021年2月 株式会社Zalf(現株式会社カイカエエクスチェンジ)経営企画室長兼暗号資産審査室長

2021年5月 同社取締役経営企画室長兼暗号審査室長

2022年10月 カイカ証券株式会社業務部長(兼職)

 

上記は某ネット情報から転記したものですが、出典はAbalanceとあります。この後、年明け 2023年1月にAbalanceへ転職したのでしょう。さらに言えば、2023年8月には株式会社LAホールディングスへ執行役員(広報・IR担当)として転職しています。華麗な(?)経歴から事件が発覚するまでは、同氏は「歴戦のベテラン」「株価上げる請負人」と称えられていました。

 

つまり、そんな経歴を持つ人がまさかのインサイダー取引を行ったことがニュースを大きく扱うことになった理由の一つでしょう。加えて、ニュースでも報じられていましたが、IR人材の希少性が言われる中で起こった事件だからでしょう。IR人材の不足は、メルマガ261号(2024年4月8日付/IR人材、お待ちします!)でお伝えしているとおりですが、実際にIR求人需要はこの6年で約4倍に跳ね上がっています。売手市場の環境下で生じた事件ということも大きく扱われた理由だと思います。

 

官民で充分すぎるほどの知識やキャリアを築かれたにもかかわらず、このようなことになったのはどうしてでしょう。あるところから株価を上げることが、同氏の目的になってしまったことが根っこにあるのではと推測します。2013年に民間企業へ転職してから1~2年おきに転職を繰り返しているのは、カネの切れ目でなく株価の切れ目が(会社との)縁の切れ目になっているのではと思えてなりません。私自身、IRコンサルとして多くのクライアントとお付き合いいただいていますが、今回のニュースを聞きディア・マスターズの存在意義をあらためて考える機会になりました。皆さんは今一度、何のためIRをされているか考えられてはと思います。

 それでは、また次回!

 

 

 

ご相談はこちら

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せはこちら

080-9195-3710
受付時間
9:00-17:00
休業日
土日祝

ご相談はこちら

お問合せは、電話、ご相談メールにて受けつけています。どうぞお気軽にご連絡ください。

080-9195-3710

メルマガ登録はこちら

 メルマガ登録者へ「IR Master(名人)の心得25ヶ条」を無料でさしあげています。