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2025年12月22日/290号 2025年、AI進化に驚く
1年を振り返ることが多くなる時期です。2024年12月10日付けの日経新聞を見ると、証券各社が2025年末の日経平均株価を予想しています。
シティグループ証券 4万6000円
SMBC日興証券 4万5500円
米JPモルガン 4万3000円
野村証券 4万2000円
みずほ証券 4万1000円
記事掲載時の日経平均は、3万9160円だったので1年後にシティで約2割、みずほでは約5%上げるとの予想です。実際、1年たってどうなっているか。2025年12月19日の日経平均終値は4万9507円です。最強気のシティ予想を8%上回っています。
1989年12月末につけた最高値3万8915円を2024年3月4日に34年2か月ぶりに更新(3万9098円)してから気がつけば4万円台へ。トランプ関税で今年4月には一時的に3万3千円台へ急落する局面はあったものの、10月に高市政権が誕生すると同月末には史上最高値となる5万2411円をつけました。1年間で3割上昇(最安値からは5割上昇)は、さすがの証券各社も読み切れなかったというところでしょうか。
他にも重大ニュースはありますが、個人的にはAIが日常生活に見える形で浸透し始めていると実感する年でした。アナログ的作業をベースに働いて、働いて、働いて(ここらで止めときます(笑))そこに価値を見出してきた昭和世代からすると、AIはいけ好かない奴で無視・スルーしてきたわけですが、どうもそんなこと言っはおれないところまで達してます。
例えば、AIに「2025年IRに影響を与えた10の出来事」について教えてと入力するとたちどころに以下のように回答してくれます。どれもなるほどと思わせます。これらにどんな対応とったか確認すれば、1年のIR活動をお手軽に振り返ることができます。
回答:
1. トランプ大統領就任と「相互関税」発動
米国の貿易政策が急変し、サプライチェーン再編や企業の説明責任が強化された。
2. ウクライナ・ロシア戦争の長期化
米国の和平案が進展せず、エネルギー価格や投資家心理に不透明感を与えた。
3. イスラエル・ハマス停戦合意と中東リスク
原油価格の乱高下が企業のIR説明に直結し、エネルギー関連株に影響。
4. 日本での高市早苗政権誕生
政策期待が日本株を押し上げ、企業は新政権の政策対応を投資家に説明する必要が生じた。
5. AI・半導体ブームの加速
NVIDIAを中心とした半導体相場が世界的に株価を牽引し、テクノロジー企業のIR戦略が注目された。
6. インフレと金利政策の不透明感
各国の金融政策が市場を揺らし、企業は資金調達や成長戦略を投資家に再説明する場面が増えた。
7. 企業統治改革の進展(日本)
コーポレートガバナンス改革が加速し、IR活動で透明性・説明責任がより重視された。
8. 米国市場のボラティリティ急上昇
関税政策や戦争リスクで株価乱高下、投資家へのリスク説明が不可欠となった。
9. 国際貿易協定の再編
米国が英国・中国と新たな協定を結び、企業は新ルールに基づく事業戦略をIRで発信する必要があった。
10. ESG・持続可能性への注目拡大
気候変動や社会課題への対応が投資家の関心を集め、IRでのESG情報開示が必須化。
実はもっと驚いたのは、某会社からのIRのAI議事録について相談を受けた際のこと。AI議事録については予想の範囲内だったのですが、その議事録にある質疑応答をAIにかけ分析し、投資家の関心がどこにあるかを自動的に整理し、加えてレポート化までして経営幹部にも報告できるようにしていますと言われたから。
これって拙著(「投資家をつかむ IR取材対応のスキルとテクニック(中央経済社)」)で取材後対応としてページを割いて説明している内容そのもの。質疑応答の分析は、他社IRと差別化要素になる極めて重要なポイントです。それがポチッと押すだけで完了するかもしれないのですね…質疑応答の分析精度は見ていないので何とも言えませんが、IRもいよいよここまで来たかというのは間違いありません。AIは毛嫌いするものでなく、受け入れ活用できるところは最大限、活用するという至極当たり前のことを再認識する年になりました。冒頭の日経平均予想では、証券各社はAIを使ったうえで算出しているだろうに(少なくとも現時点では)大外ししているわけでAIは万能でないことも明白です。ちょっと大げさですが、来年創業から10年目を迎えるディア・マスターズにとって、最良のIR支援とは何かを再考するきっかけにもなりました。
最後に、年末年始の長いお休み用にお薦めの本・映画を独断と偏見で下記します。
本:
(1) 「国宝」吉田修一著/読み(聴き)だすと止まらない。年明けは映画館に行こう。
(2) 「ババヤガの夜」王谷晶著/こちらも止まらない。国際的に評価されたのも納得。
(3) 「硝子の塔の殺人」知念美希人/古今東西の推理・ミステリー名作へのリスペクトに溢れた作品。
映画:
(1) 「2001年宇宙の旅」/1968年の作品とは思えない。個人的には後半の映像美に感動。
(2) 「名もなき野良犬の輪舞(ロンド)」/韓国映画の脚本の素晴らしさを再認識する一本。
(3) 「小説吉田学校」/映画前半は、サンフランシスコ講和条約に至る過程、後半はその後の政界権力闘争を生々しく描いてます。昭和史に関心を持つきっかけになりました。
今年一年ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください!!