国内投資家、外国人投資家、個人投資家、証券アナリスト、IR支援会社などの属性に応じたアドバイスを行い、実務の部分まできめ細かくご提案
2020年5月25日/140号 最近、迷っていること
メルマガ139号(30%クラブジャパン?!)へメッセージをいただきました。ありがとうございます。
『メルマガいつも楽しく拝読しております。恥ずかしながら、「30%クラブ」は不勉強にして存じませんでした。とても興味がわきました。個人的には、どうしても必要な場合(制服に着替える必要があり更衣室の用意が必要である等)を除き、履歴書の性別欄などは任意記載、若しくは廃止とすべきであると思います。女性のみならず、LGBTQや、様々な選択肢を持った人々の多様性を適切に認めない事は、それだけ有能な人材を雇用する機会を自ら進んで喪失している事になると考えます。
また、多様な人材の能力が適切に活かされ、企業の競争力向上と社会的価値創造によりよく貢献するためにも、今回のCOVID-19騒動で、「能力給」的な日本型人事評価制度がさっさと崩壊し、成果主義型のポータブルな人事評価制度に変化してくれることを願っております。能力があってもそれを適切に活かせなければ価値は適切に創造されません。企業は営利団体なので、すべての行為は利益拡大に合致していなければなりません(ESGもSDGsへの取り組みもそうだと思います)。女性やLGBTQの活用に関しても、厚遇すればよいというものではないと思います。ともあれ、今後ともどうぞよろしくお願い致します。』
『お早うございます、毎週楽しく有意義なコラムを拝読させてもらっています。コロナも少し収まってきたようで 少しほっとしていますが…コロナで世間が変わりそうですね、今日の日経一面トップ記事もそれを話題にしています。
コロナ騒動で小生が特に感じている事
1.マイナンバーカード
日本居住者に10万円支給でマイナンバーカードが普及していればスムーズに支給されたでしょう。更に電子交付に対しても申請の間違いだらけとか、実にお粗末ですね。具体的にこんなに問題があるのに マイナンバーカードに政府が大々的にスポットが当てないのはなぜだろうか?マスコミも取り上げない。マイナンバーカードが普及していれば 当初案の30万円支給対象者も簡単に選択できたはずと思うのだが。(ようやく 総務省が動き出したようだが?何年か前の住民基本台帳カードのようにならないか)
2.財政
危機に直面している企業、商店、個人等々に政府が支援するのは 当然と思う反面、言われている巨額のお金どう調達するのだろうか?ただでさえ政府は大借金を抱えているのに 大判振る舞いをして大丈夫だろうか?国債発行で大借金の先送り?経済知識のない小生が心配することはないだろうが。暇つぶしにチョットです。』
最近、迷っていることが2つあります。今日はそのうちの一つを書きます。
現在使用中のスマホは、アップルiPhone-7です。購入して4年目に突入していますが、使い勝手が悪いとか、カバーガラスが割れて見づらいとかの不満はありません。そんな中、GW明けから2代目のiPhone SEが販売開始されましたね。価格やスペック面から当初、これへ買い換えるつもりだったのですが、今秋に販売予定のiPhone12の噂を聞いて迷いが生じています。
そのもとになったのが①ディスプレイサイズがiPhone7の4.7インチから5.4へ大型化すること(筐体サイズは、ほぼ同一であるところがミソ)、②有機ELディスプレイが採用されること(発売全機種がそうなるらしく、液晶ディスプレイがラインナップからはずれるのはiPhone史上初めて)、③最新A14チップセットによる高速化やバッテリー持ちの長時間化など。その分価格は高くなるのがデメリット。また、5G対応ですが、そこへの期待値は低いです。国内5Gサービスは今年開始されたばかりで、しかも現状対応エリアは狭いと聞いているので。
と、まぁもっともらしいことをツラツラ書き連ねましたが、これらは全部ネット上の噂に過ぎませんので注意ください(笑)。今くらいの時期から小出しに情報をリークして期待感を醸成しようという常套手段。それより2007年に初代iPhoneが市場投入されてから13年もたつのにいまだ新機種の発売前には(かつてより下火になっているとはいえ)なぜだか気になってしまう製品であるところがホントすごいと思う。今時、そんなモノってないですよね。そう感じるのは私だけかな(笑)?
現時点での結論。2代目iPhone SEが販売中止になることは当面ないだろうから、iPhone12の発売を待って正確な製品情報を確認してから判断するつもりですが、アドバイスあればお願いしま~す。それではまた来週!
2020年5月18日/139号 30%クラブジャパン?!
緊急事態宣言が39の県で解除されました。東京では継続となったものの、新たな感染者数は11日間連続(16日時点)で1日50人を下回る低下傾向が継続中。活動を再開する小売りや飲食のお店もちらほらと。10万円の特別定額給付金の申請書は未着だけれど、もらったら消費へ回し少しは役に立ちたいと考えてます。もう使いみちは決めている。
2020年日経「女性が活躍する会社ベスト100」が公表されました。総合ランキングベスト10企業は以下のとおり。
1位 日本IBM
2位 アクセンチュア
3位 花王グループ
4位 アフラック生命保険
5位 りそなホールディングス
6位 イオン
7位 JTB
8位 高島屋
9位 大和証券グループ
10位 資生堂
ウェブ開催のシンポジウムで日本IBM山口社長の話を聞きました。同社最大の特長は、会社に何が起ころうと継続的に女性活躍推進へ取り組み続けていること。そのために必要な2つの要素が①制度や仕組みづくり、②当事者への精神的な支え・後押し。①はハード面、②はソフト面からの支援ですが、特に②へ注力することが成果への影響大のようです。具体例として同じ環境にいる仲間とのコミュニティー立ち上げや役員・先輩社員によるメンタリングなどの支援をあげられました。やはり、仏作って魂入れず、とならないためにも②が大切なのですね。
これ以外にも女性が活躍する会社を称える制度はあります。厚労省の「えるぼし」認定はそのひとつ。女性が能力を発揮しやすい職場環境にあるかとの視点で評価されます。今年から最上位に「プラチナえるぼし」が加わり4段階で認定されます。このほか、IR視点では「なでしこ銘柄」や「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」へ選定されることを目指しておられる企業もあることでしょう。
ここで質問。<30%クラブ>ってご存知ですか?
私は、前職からおつき合いのあるバイサイドの方に聞かれた時、環境関連の用語かと思いました。あるいは、野球(特に大リーグ)だと30-30クラブとか40-40クラブと言って30(40)本塁打、30(40)盗塁という記録があるので、その類かとも思いました。日本だとここへ打率3割を加えたトリプル3の方がポピュラーですね。それにしてもプロ野球が開幕しないのは寂しいかぎり(閑話休題)。
何かというと、企業の持続的成長に向け意思決定機関(取締役会)における女性比率を30%にすることを目標に活動するクラブです。2010年に英国で始まりました。発足当初の女性役員比率は12.6%でしたが、2018年には30.6%を達成しました(この間、経済成長率も大きく上昇)。日本では昨年5月に活動開始しており、2030年を目途にTOPIX企業での30%達成を目指します。ちなみに昨年の女性役員比率は5.2%で、政府目標は今年10%を達成することです。どうして30%なの?という点ですが、意思決定機関において多様性を持ちながら心理的に安心して発言するのに最小限必要とされる、いわゆるクリティカルマスだからです。
30%クラブ ジャパンについて
https://30percentclub.org/assets/uploads/30_club-J.pdf
内閣府男女共同参画局 女性活躍とSDGs
http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/yakuin_6.pdf
メンバーになるメリットをいくつかあげています。
(1)経営トップ自らによる数値目標と期限設定により他人事化させない
(2) 実績をあげているクラブ独自のイニシアティブを活用できる(入会・会費不要
(3) SDGs、ESG、CSR対応のひとつとして発信可能(SDGs17目標中、5番目は<ジェンダ
ー平等を実現しよう>)
(4) クラブのイベント等を通じて、日本や世界の経営と繋がるネットワーキング強化
(5) ブランド強化や人材採用強化
IRとしてこのクラブが面白そうだなと感じるのは、(2)の中にあるインベスターグループとの対話(エンゲージメント)と通じて価値向上の働きかけを受けられることです。グループメンバーは日系・外資系のそうそうそうたるアセットマネージャーとアセットオーナーからなります。あのGPIFもアセットオーナーの1社としてグループに加わっています。グループからの『新型コロナウィルスで厳しい経営環境に直面しておられる企業の皆様への応援メッセージ』にも書かれているように女性役員比率向上に限らず、コロナ禍で生じた課題解決に取り組んでいる企業のベストプラクティスを共有する支援を受けることも可能です。
30%クラブ インベスターグループからのレター
https://30percentclub.org/assets/uploads/japan_IG_covid_message.pdf
コロナウィルスの影響でテレワークが導入され、働く場所・働く時間が大きく変化した方が多いと思います。せっかくだからこれを機にもう一歩踏み込んで、働く相手(つきあう相手)を変える(拡げる)ことを積極的に考えてもよいのではないでしょうか。きっと女性活躍推進にとどまらず、企業価値向上の一助になるに違いありません。30%クラブへ関心がわいた方は、私へ声掛けしてくれてもいいですし、直接に同クラブのキャンペーンマネージャーであるデロイトトーマツの只松美智子さん(jpdt30percentclubr@tohmatsu.co.jp)へ連絡されてもよいと思います。それではまた来週!
2020年5月11日/138号 コロナウィルス影響の開示方法
お久しぶりです。GWはどうでしたか?私は、近所への買い出しと散歩を除いて素直にStay Homeしてました。もう一月半くらい電車に乗っていません。こんなこと今までなかった。これがニューノーマルになるかどうかは別にして、当面はそんな中でやっていかなくてはならないとの思いを新たにしています。
東洋経済オンラインに食料品、医薬品等の生活必需品を「売れた」「売れなくなった」商品トップ30としてランキングする記事がありました(データ出所はインテージ社で、2月3日以降、毎週品目別に販売金額を前年同期比の増減で公表している)。
増加率トップ30
1位のうがい薬は納得。2,3位がエッセンス、プレミックスの食品関係。これは外出自粛による内食の増加でしょう。4位にビデオテープが入ってますが、何だろう?4月第2週まで前年割れしているから、コロナ影響による増加ではないのでは?ざーっとみていくと…13位に体温計。3月第2週から毎週ほぼ200%増だけど、この増え方は一家に一個でなく、一人一個のマイ体温計を意味するのかしら。19位にマスクが入ってます。4月第3週で販売額伸び率は、前年同期比6割増しだけど、低すぎる気がしませんか。データ収集されない非正規ルートの販売が多いということ?マスクといえばアベノマスクがようやく我が家にも届きました。まだ封を開けていません(笑)。
減少率トップ30
Stay Homeによる需要減で説明がつくものばかり。1位の鎮暈剤(ちんうんざい)=酔い止め薬、2位口紅、3位日焼け止めなどは、その最たるものかと。4位の強心剤は、説明が記事にありますのでそちらに譲るとして、これら新型コロナウィルスの影響を受けた企業はどのように開示しているかを調べました。
最初に減少率トップ30の分類で4割を占める<化粧品>業界の開示。次いで、増加率・減少率トップ30にリストアップされた商品の多くを販売する<コンビニ>業界の開示を見たいと思います。
化粧品各社の開示
国内トップ4社(資生堂、コーセー、花王、ポーラオルビス)を比較。コーセー以外は12月期決算。ポーラオルビスが定量的に影響額を開示、加えて前提条件を明示したうえで通期業績予想まで踏み込んで修正している。資生堂は2月初めの本決算発表の段階でコロナへの影響と緊急対応について開示しているのはさすがトップ企業。花王は、コロナに対する会社としての取組を決算資料とは別に定性面から述べており、真摯さが伝わる。コーセーは、他3社と比べるとコロナに関する開示が寂しい感は否めない。
◆資生堂/12月期決算、本決算発表2月6日、Q1決算発表5月12日予定
本決算発表説明資料中、1頁で説明。内容は、1月店頭売上げの前年比と緊急対応内容を開示。
https://corp.shiseido.com/jp/ir/pdf/ir20200206_683.pdf
(41頁参照)
◆コーセー/3月期決算、本決算発表4月30日
本決算発表説明資料中、3頁で説明。内容は、感染症拡⼤による影響と対策(定性的)、地域別売上高で日本がQ4大幅減(影響額は記載なし)、2021年3月期予想(全体の売上・利益予想は公表するも、セグメントブレイクダウンは未公表)。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4922/ir_material_for_fiscal_ym1/79846/00.pdf
(3、12、18頁参照)
◆花王/12月期決算、Q1決算発表4月27日
Q1決算発表説明資料中、1頁で説明。内容はQ1概況と今後の見通しについて(定性的)。これとは別に<新型コロナウィルス感染症拡大に伴う事業への影響について>と題した
資料で事業運営、影響、見通し、施策などについて説明。
(3頁参照)
(新型コロナウィルス感染症拡大に伴う事業への影響について)
◆ポーラオルビス/12月期決算、Q1決算発表4月28日
Q1決算発表説明資料中、2頁で説明。内容は、業績への影響と今後の考え方。売上・利益への影響額を公表。それを踏まえて通期予想を修正。
https://data.swcms.net/file/po-holdings/news/news/auto_20200427400862/pdfFile.pdf
(13、16頁参照)
コンビニ各社の開示
3社(セブン&アイホールディングス、ローソン、ファミリーマート)を比較。セブンは投資家の関心事=コロナ影響を資料冒頭にサッと準備してくるのは、さすがわかっていらっしゃると思わせる。ローソンは影響額に加え会社として対応、さらには医療関係者への応援まで説明している。ファミマは他2社と異なり通期見通しを開示しているものの、前提条件は大丈夫かしらと感じてしまう。
◆セブン&アイホールディングス/2月期決算、本決算発表4月10日
本決算発表説明資料の冒頭2枚で1~3月における店頭と通販の前年売上比をグラフ化して開示。通期見通しは未定で明らかになり次第公表とのスタンス。
https://www.7andi.com/ir/file/library/ks/pdf/2020_0409ks_01.pdf
(3、4頁参照)
◆ローソン/2月期決算、本決算発表4月9日
本決算発表説明資料に足元状況としてセグメント毎に売上影響額を前年比で公表。合わせて客数、客単価も公表。また、ウィルスへの対応に関して4頁を割いている。通期見通しは、セブンと同スタンス。
https://www.lawson.co.jp/company/ir/library/pdf/presentation/ps_2020.pdf
(6、28、29、30、31頁参照)
◆ファミリーマート/2月期決算、本決算発表4月13日
本決算発表説明資料中、半頁ほどにウィルス感染症拡大への対応として定性的な記載あり。通期業績予想をは、ウイルス影響を4月末まで加味しており今後修正の必要が生じた場合には速やかに開示するとしている。
https://www.family.co.jp/content/dam/family/ir/library/presentation/presentation_2002_sf2_jp.pdf
(7、16頁参照)
開示内容には以下の3点(会社によって(4)が必要)を含んでいることが必要と思います。
(1)業績への影響
投資家から見て理解の得られる情報粒度であること。粒度が粗すぎてはいけません。
(2)通期業績見通し
環境が環境だけに無理な開示は不要。ただし、開示する場合には前提条件を明確に提示すること。
(3)新型コロナウィルスショックをどう捉えているか
(1)(2)よりも上位概念にあたるかと思います。経営としての受け止め方やアフタ
ーコロナ(あるいはウィズコロナ)における経営をどんな風に行っていくのか。そのための仕組みや差別化ポイントなど。
(4)財務安定性
ファイナンスについて必要性があればそれを説明したうえで絶対に生き残れるということを明示する。 それではまた来週!